第一章

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そのまま話を聞いていても仕方なく、聞きたい事も大量にあったのでその人の隣で歩く事にした。 「あの…すいません。」 「はい?どうしましたか?」 「此所、どうなっているのですか? 家の中とは思えない広さなんですけど…」 そう質問を投げ掛けたら、少し意外そうな顔をされた。 『なんでだ?』なんて思いにはすぐ答えがきた。 「あら珍しい質問ですね。 普通なら、【それらの本は本物ですか!?】とか、 【どうやって手に入れたんですか!?】 なんて皆さん言いますがねぇ。」 そう言う事、つまりは自分の自慢に反応しなかったかららしい。その人は言葉を続けた。 「ま、良いでしょう。この部屋の広さでしたっけ? それは、この部屋はご存じの通り時空を歪めて広くしているからですよ。」 「歪めて…というと?」 「端的に言えば、空間を縦にも横にも引き伸ばしているんですよ。 そうですね…横は、今ならば一ミリを一メートルに、約1000倍に引き伸ばしています。高さは1.5倍にしか引き伸ばせませんが。 まぁ空間に歪みをつくる訳ですから、勿論所々不安定な所は出てしまいますがね。 あ、丁度あそことか。」 そう指指した先を見ると、なるほど空間に黒い穴があいていた。 暫く見つめていると、穴は段々小さくなり、最後には消えてしまった。 回りも良く見ると、天井は少し低くなっていて、時折軋むかのように揺れていた。 『確かに、空間が歪んでるように見える。 俺の考えは、当たらずとも遠からずだったな。』 「まぁ、間違って入ったりしなければ安全そのものですから、大丈夫ですよ。 これでこの部屋について分かって貰えましたか?」 .
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