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「あ、大丈夫っす…です。」
「しかし、面白い質問ですね。本の事より先に、この部屋について聞いて来るなんて。
こんな当たり前を聞くなんて、もしかして貴方、人間ですか?」
なんて言ってその人は笑った。
まるで自分が人間である事が有り得ない事のように。その質問は、明らかな冗談のようだ。
しかし質問の内容も、外見は人間の形をした他の生物がいるようだった。
でなければ、明らかに人である自分に「人ですか?」と、問い掛ける事なんて、ないのだから。
はいと言うかどうか、迷った。
その人の言葉は明らかに真剣味を帯びていないのだから、ここで「はい、自分は人間です。」と言えばきっと驚愕するだろうし、それについてどんな弊害が起きるかも分からない。
何故ならば、これまでの事を考えると、此所は自分の知っている世界でない事は事実であり、自分の常識は通用しないと考えて良かった。
違う価値観や文化を持った世界に行くと、どんな苦労があるかは、外国に行った者ならば分かるだろう。
意外と、それらの違いは大きなトラブルを引き起こすものだ。
国が違うだけで、これほどの問題があるのだ。ましてや、此所は次元が違う。
自分が人間であるだけで、自分は殺されても仕方ない事態に陥っても、文句は言えない。
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