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「ではこの空間、そして世界の基礎について知ってもらいましょうか。」
それからその人が語った話を要約すると、こんな話だった。
この世には、世界は無数にある。それは我々人間が住む世界だったり、他の生物が支配する世界だったり、多種多様である。
世界と世界は全て同じ空間に位置するが、次元が違うために普段は相互不干渉の関係が成り立っている。この空間はその次元を自由に行き来する事が可能だった。その特性を活かして、その人は色々な次元の世界に空間を繋ぎ、本を集めていた。
本を集めていると、いつしかその本に書かれている知恵を欲しいと願うものが出てきた。
それはおもに世界の主でもあれば、とるに足らない小さな生き物までいて、その人も初めこそは戸惑ったが、そのうち条件付きで、全てのものに平等に本を渡すようになった。
知恵を欲しがるものは跡を絶たなかった。
その人は、それならばいっそのこと本屋にしてしまえ。と思って、この書店をつくった。
その時、その人はもとあった条件に一つ、条件を付け加えた。それは真に知恵を願うもの、この空間を自力で発見出来たものでなければ、この空間に立ち入る事が出来ない。その様な内容のものだった。
それまで来ていたものの大半は、たわいのない望みで、ここに来ていたからだ。
その人は、そんなものたちの相手まではしたくないと思っていたらしい。
この条件を付け加えた事で、無駄な来訪者はめっきり来なくなったらしい。
来るのは真に知恵を願うものが殆どであり、その内訳も特殊なものが大きな割合を占め、人間はほんの1%にも満たないらしい。
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