第一章

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その家(店?)から出た後のことは良く覚えていない。 と言うよりも、強制的に忘却させられてしまったかのようだった。 本の存在は確かにあるが、俺の目には入らないようだった。俺の日常は再開した。 そして数年経ち、俺はその家を引き払った。 大学を卒業した俺は、趣味からか書店に就職した。その店は都会の中心部にあったために、今までの家からでは遠く、通勤に支障をきたしたためだった。 仕事は楽しいが忙しくて、その時その時を考える事で精一杯で、記憶の果てに追いやられた本の存在は、思い出される事はないように思われた。
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