欠片

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朝露が葉から滴り落ち 私の鏡は割れてしまいました 月が真っ赤に輝いたあの夜 私の翼は一つ剥がれていきました 海が暗闇と同化した時 私の声は無音と化しました 無数の星が降り注いだ真夜中 私の瞳は色彩を無くしました 翼が一つでは天を舞えず 地を唯々その足で 色彩が無くては 手探りでしか歩けず いつしか鏡の破片を踏んでしまいました 無音と化した声では苦痛すら無意味なものでしょう 嗚咽など誰の耳に届くでしょうか
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