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理由なんてどうでもいいと思っていた…
俺は、春になりきれていない風を頬で感じながら、誰も居なくなった職員室で一枚の転入届に目を通していた。
その転入届は『転入した理由』と書かれた下の欄に、何も書かれていなかった。
さっき会った少女のことを思い出す。
柔和な女の子だと思った。
フワリと微笑む姿が、とても優しい表情をしていて、小動物を連想させる。
けれど、どこか違和感を感じたのだ。
気になったのは、その欄が空白だからとゆう訳ではなく、空白にしているのが彼女だから。
椅子に張り付いた腰を無理矢理動かし、ゆっくりと立ち上がる。
影に落としていた視線を上げる。
沈みかけた太陽がガラス戸に反射して、とても眩しかった。
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