Episode:1

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少し強い風が頬を掠める。 風の行方が気になった俺は、窓を吹き抜けた風の行方を探るべく、灰色の空を見上げた。 手にしていた青いしおりが、流れるように手元から離れる。 思いの他ゆっくりと舞い上がるそれは、今の自分を暗示しているようだった。 ーーー… 「幸村ー…幸村…どうした?」 「え…?」 空を見上げていた俺は、なまえを呼ばれたことに驚いて、声がするほうに顔を向けた。 「あぁ…ブン太か…ー」 見知った顔に安心したせいか、軽い口調になりながら微笑する。 「俺で悪かったな。」 「ごめん。そんなつもりはなかったんだけど…ついね…」 「わかってるって…冗談だよ。安心した顔してるってことは信用してくれてるってことだし。」 「ふふっ…ありがとう。」 「…それで、どうしたんだ?ぼーっとしてたけど。」 「…空を見てたんだ。今日テニスできるかなぁって思ってさ。」 「そういや天気予報で曇りっていってたな。この調子じゃあ曇りってゆうより雨降りそうだけど。」 ブン太が窓の外を見ながらそう言った。 「雨降ってほしくないなぁ、部活できなくなるし。」 「本当にテニスが好きなんだね。」 「それはみんな同じだろぃ。」 当然のように言うブン太に、俺は返答のしようがなかった。
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