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あまりにも当たり前すぎるブン太の言葉を、一瞬だけ考えてしまったのだ。
俺は、テニスが好きなのではない。
なにか、もっと別の感情をテニスに対して抱いている。
それはきっと、今目の前に居るブン太には理解しがたい感情なのだろう。
だから、口を噤む以外の反応ができなかった。
視界の端で湿気を含んだ葉がひゅるりと落ちるのが見える。
「・・・・。」
ごまかすように緩い笑みをブン太に向けると、ブン太もさっきの俺のように窓の外を見ていた。
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