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「あ・・・。」
ブン太はなにかを見つけたのか、小さく声をあげる。
視線の先をたどると、立海の制服を着た女の子が、校門脇にある大木の下に佇んでいた。
「なぁ、幸村。」
不意に名前を呼ばれたせいか、返事が遅れる。
「・・・・・なに?」
「木の下に立ってる女子って誰か分かるか?」
「いや、全然。」
「そっか…。」
ブン太の横顔が、なぜか不自然に歪むのがわかった。
何かを悔やんでるような、皮肉っているような・・・上手く言葉に出来ないような表情。
少しだけ、そんな顔をするブン太を羨ましいと思った。
自分には、そこまで思い悩む相手がいないから、それを見ると酷く寂しい気持ちになる。
自分一人、置いて行かれてるみたいで・・・。
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