普通の恋の始まり

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(始まり・・それは澄んだ、そよ風が肌に優しい日) 俺の名前は早川武(はやかわ たける) 俺には、高校一年の時の学園祭が、きっかけで交際していた女がいた。 彼女も俺も同じ学園祭の飾りつけ係だった。 初めての学園祭も無事に終わり、係り全員が出席して反省会をした。 気が付いたことや来年への懸案事項などを一人一人発表して総括して流れ解散となった。 腕時計を見るともう8時過ぎになっている。 部室にはもう誰も残っていない。 急いで廊下を走って帰ろうしていた時 出口の近くの暗がりで 運命の女神は、そこに未来の全ての優しさと刹那さを封じ込めて 女を立たせていた。 いったい誰だろう・・・と思い緊張で生唾を飲み込んだ。 女は伏せ目がちに顔を隠しながら近寄って来た。 商店街の看板の明かりが 窓から差込み女の顔を浮き上がらせた。 「早川君、お疲れ様」 そこには、隣りの二組の学級委員長で今回のミス学園祭になった 飯田瞳(いいだ ひとみ)がいた。 「あー飯田さん、なんで帰らなかったの」 「これ・・・・早川君のじゃない」 瞳が差し出したものは、俺が高校の入学祝いで九歳年上の兄から貰った万年筆だ。 「いっけね・・・・今日は、ばたばたしていたから、落としたの気づかなかったよ」 「だよね~っ、はいどうぞ」 「あぁー、あ・・・有難う助かったよ! これ凄く気にっていて大事にしていたんだ。」 「早川君の日ごろの行いがいいから、神様にかわって私が無事にかえしてあげれたのかもよ!」 「どういう意味?」 「だって毎日遅くまで残って一人で学園祭の飾りつけ準備していたじゃない」 「あ・・・なるほどねっ 君には、そんなふうに見えていたかもしれないね! 本当は、訳ありなんだ」 「へーっ、?」 俺は、また息を呑んで、目の前の瞳を見つめた。 艶やかな長い髪に、澄んだ瞳が綺麗な女子高校生と 俺は夜中の校舎で今二人きりでいる。
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