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「うるさい、ほんと失礼な奴ね」
化粧も終えて繁みから出てきた彼女は舞妓の格好をしている。
「ばーか、俺は心配してやってんだよ。先代の愛しい娘が男に襲われないかどうか…」
「たたっ斬るから大丈夫よ」
「ていうかさ、舞妓ってそんな喋り方か?すぐボロが出るぞ」
「…そんなんうちがお勉強せぇへんとでも思っとんどすか?」
憑黄泉は呆気にとられている。
月華はそんな様子を見て勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「ほな行きましょか。あっ、憑黄泉はんはうちから離れといておくれやす。黒猫が舞妓に着いて歩いとったら変な目ぇで見られてまうやろ?」
「はいはい…」
もう返す言葉が無くなったようで彼は近くの木の上に飛び乗った。
それを見届けると、月華は顔を引き締めて京の町に入り、新撰組の屯所を目指す。
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