その女、京に入る

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「いいお婆ちゃんやったね、憑黄泉(ツクヨミ)」 「まぁな。飯も美味かったし。それよりむやみやたらに剣をふるうなよ」 「あは、まぁいいじゃない。たまにはいいことしとかないと。縁も出来たし!」 「ったく…どっちにしても今から暫くはいいことばかりするんだろ?」 「それは分かんないわよ。私はただ新撰組のお偉いさんに呼ばれただけなんだから。どんな仕事させられるかは知らないし」 「よくそんな仕事受けたなぁ…」 「どんなことでも仕事を受けるのが何でも屋の仕事でしょ」 「どうだかなぁ…」 憑黄泉と呼ばれているのは先程老婆に"月読"と紹介された黒猫。 彼は猫又と呼ばれる妖怪の中で最高位に近い立場にあるもの。 月華との出逢いの話はまた今度…。 月華は繁みに入ってある衣装に着替えている。 これも依頼の一つらしい。 憑黄泉は見張り役をしながら彼女に小言を漏らしている。 「ほらどうよこれ」 「馬子にもなんちゃらだな」
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