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昔、人気の病院だったこの建物が、何故こうなったのかは誰も判らない。
知っている人は居るのだろうけども、この町の住人は判らない。誰も近付かない。
四階建ての角ばった建物は、あちこちコンクリートに割れが入って、そこから蔓が延びて居る。しかしそれも、もう枯れていた。
窓は全て、板で塞がれて、中は見えない。入り口には鍵がかかっていて、隙間から少し、明かりが漏れている。
少年は飛び上がると、一気に屋上まで。
屋上から月に向かって絶叫する少年の声に、烏達も一斉に飛び立ち、空を隠す。
不気味な声を上げながら飛び回る烏の群れの陰に、月の光がチラチラと。
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