冬の紅茶

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今日もまた怒鳴って、 叱って、ため息… 羅夢の毎日は いつも繰り返しのように 思えて仕方ない… 疲れたように 椅子に腰を下ろした羅夢を見て、 いつもならイヤミったらしく ゙そんなことして疲れない?゙ って言う僕だけど、 今日はいつもと違っても いいんじゃないかって思った。 僕はお気に入りの紅茶を カバンの中から取り出し、 沸いたお湯をカップに注いだ。 キレイな薄い赤が カップの中で波紋を見せる。 それを羅夢の前に出した。 いつもと違う行動に 少し驚いた顔をした羅夢。 『どうぞ。 疲れたでしょ?』 そう言って僕は 先程読んでいた参考書に 目線を移して、 自分に入れた紅茶を口にした。 「聖斗、ありがとっ」 いつになく素直な羅夢の笑顔に 不覚にも大きく胸が波打った。 苦手なタイプなはずなのに、 なんでこんなにも胸がうるさいんだ? 疑問と戦っている僕の隣で 羅夢は嬉しそうな顔で 紅茶を頬張っていた。 「ケーキと合いそうね。 次飲む日はケーキも添えよっか。 また一緒にティータイムしようね」 そんな羅夢の一言に、 笑顔に、仕草に、 また胸が大きく鳴った。 この胸の高鳴りに 気付かないフリをして、 羅夢の言葉に軽く頷き、 窓の外に目線を移した。 すると、 小さな蝶が一匹舞っていた。 僕の心にもきっと蝶が舞う 素敵な春がすぐそこに… END 聖斗のお相手は羅夢です。少し可愛く、少しおとなしめに仕上がったと思います。 蝶好きな聖斗と蝶嫌いな羅夢は逆みたいですが、結構スラスラ書けました(*゚v゚*)
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