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ナーランダ内の駐屯基地の作戦室では市民の避難について会議をしていた。会議室の中心には立体的に映像が映し出されていた。映像に映し出されていたのは、ナーランダに接近する火星大帝国軍の主力巡洋艦アルギュレ3隻だった。その映像の周りには椅子に座る複数の士官達がいた。
「万が一、敵機が進入して来たらどうするのだね」
「非難警報を鳴らす必要はないでしょう。我がナーランダにあるブレイバーは全60機、戦艦は未完成を含めると12隻です。まず緊急軍事演習という名目で宇宙港を閉鎖させ、それから防衛部隊を二つ編成し、ナーランダより2キロ離れた地点に第一防衛ラインを形成し、そこに第1防衛部隊を配備させ、ナーランダの第5宇宙船ドックに第二防衛ラインと第2防衛部隊を配置させれば問題ないでしょうな」
「それとナーランダは密閉型のSTCのため、市民にはこの戦闘のことを知ることはないでしょう」
「それに敵の数は3隻、モビロイドは精々15機ぐらいじゃないかと思ういますしね、司令官」
「一応、非難警報くらいださんと―――」
ロジャー艦長がそう言うと、彼の正面に座っていた士官が言いかえす。
「そうでもすればナーランダ市民は大パニックを起こすでしょう。それに奴らの目当ては建造中の新型戦艦だったということを市民に知られればこの責任を追求してくるでしょうな」
「一応、この作戦は隠密で済ませたいのだロジャー君」
部屋の奥で座っていたこの基地の最高司令官がそういうとロジャーは渋々、
「了解しました、上官」
と眉間にしわを寄せながらそう言った。
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