アキラ編 第一章 宇宙(そら)の風

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アキラ編 第一章 宇宙(そら)の風

遠くなく、近くも無い未来。 西暦3238年、月の軌道上には、いくつもの白く輝く巨大なリングと、それの上下に一回り小さいリングが回っていた。それぞれのリングは一定の速さで回転しており、それらのリングの中心にはひとつの棒状のエレベーターがつらぬいていた。そのエレベーターの両端には宇宙船用の出入り口やソーラーパネルが設けられている。さらに、その巨大なリングの中には山や森、川、雲、四季、重力など地球の大地に似た環境があり、そして、巨大なリングの上下にひとつづつある一回り小さなリングには自給率200パーセントの食料が毎年生産されている。地球で増えすぎた人類はそこで移住して10世紀以上も生活を営み暮らし、そして死んできた。その人工的に作られたいくつもの天体は 『スタンフォード・トーラス・コロニー』、通称『STC』と呼ばれてきた。その中のひとつ、蓮の花のように復数の六角形の曲面型太陽光パネルに囲まれた『STC-427 ナーランダ』に、長さ300メートルの円柱の先端に円錐を取り付けたようなシルエットをした、火星大帝国軍の主力巡洋艦アルギュレ3隻が横一列を成して刻々と迫っていた。image=231125198.jpg
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