アキラ編 第一章 宇宙(そら)の風

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ラクシュミ・シティーの郊外にある地球合衆国軍の中規模の駐屯基地には、4基の宇宙戦艦用のドックがあった。その中のひとつに見慣れない形をした戦艦が刻々と出航の準備をしていた。他の戦艦を上から見ると長方形の形をしているのに対し、その戦艦だけは三角形の形をしていた。  「やっと、完成ですねロジャー艦長」 その様子を食堂の窓から観ながら赤毛でショートヘアーの白人女性のサラ伍長が言うと、白髪頭の似合う白人の新型戦艦の艦長ロジャー大佐も 微笑みながら意気込む。  「うむ、この戦艦で地球からマーシャンズを一掃できればよいのだがな、サラ君」 そう返事した瞬間、基地の警報が鳴りだした。地球合衆国軍の主力モビロイドであるブレイバーが立ち並ぶ、新型艦のモビロイド格納庫にも警報が鳴り響いた。オーソドックスで人型に近いプロポーションが特徴のブレイバーは、幾度も改良が加えられているものの2世紀以上も地球合衆国軍のために活躍してきた。立ち並んでいたブレイバーの一機のコクピットには居眠りをする兵士が乗っていた。足を組んで寝ているのは新人モビロイドパイロットの金髪の白人青年スコット上等兵である。しかし、彼の安眠は警報によって、終わってしまう。  「な、なんだいきなり?!」 驚いた顔でそう言った。  「今日は訓練日でもねぇのに、なんだか騒がしいな」 顔のしわが目立つモビロイドの整備士長のハセガワも年老いた声でそう言うと、たくさんの切り傷がついた顔をした黒人のベテランパイロットであるホセ軍曹が電光掲示板をみてこう言いもらした。  「どうやら、敵さんのの戦艦が接近しているようだな」 警報の後に続けるように司令部からアナウンスが出された。  「第23、38、41、67モビロイド小隊に出動命令、発令」  「というわけだスコット、 これより我が第41モビロイド小隊も出動するからスタンバれ」 スコットはモビロイドのコクピットを開けハッチに立った。    「了解、ホセ軍曹!」 大声でホセ中尉に向かって敬礼した。image=231125533.jpg
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