靴隠し

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ピンポーン 加奈の家のチャイムが鳴った。 「はいはーい。」 「加奈~。俺やで~。開けてーな。」 「おれおれさぎー!」 「ちゃうわ!はよ開けな、ポテチやらんで?」 加奈はドアを開けて男を入れた。 「よ!いい子にしてたか?」 「加奈はいっつもいい子ですー!」 「ほーか。じゃ、ポテチ食べよか?」 加奈は男が靴を脱ぐのをじっと見つめた。 「(兄ちゃんは…どうせまた、5時になったら帰るんだ。帰らなきゃいいのに…。ずっと一緒にいたいのに。)」 「加奈、リビング行こ?」 「うん。」 加奈は思った。 『兄ちゃんの靴が…なくなったら……ずっと一緒にいるかな?加奈ともっと…遊んでくれるかな?』 「やっぱしポテチはコンソメやね!」 「おいしかったー。」 「今度おかんに買ってもらいー。」 「…ねぇ、兄ちゃんってなんで変な喋り方なの?」 「変ちゃうよ。関西ではこれが普通なんやから。関西で標準語っちゅーたら関西弁のことなんやで?」 「よくわかんない…。」 「まぁええわ。今日は何して遊ぼか?」 「………隠れんぼ。」 「隠れんぼ?まぁええけど…。珍しいなぁ。いつもゲームとかお絵かきやのに。」 「幼稚園ではやってんのー!嫌なの?」 「いや、ええよ。でも勝手に部屋入ってええの?」 「いいよ~。じゃあ加奈鬼ね?」 「勝手に決めんなや!ま、ええか。60数え。」 「わかった~。」 加奈はお兄ちゃんが隠れている間に、靴を隠した。
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