つぎのつぎのつぎのはなし

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「人前では見せない様にしてますからね。ワタシはまだ正義の味方になる気はないですから。」蒼白く透き通った刀身が先生と同じ軌跡を残して消える。「さあ、初めましょうか。」ワタシは攻めの構えを取り、対する先生も攻めの構えを取る。「ふむ。そう来るか。盾剣を取り出した時点で守りに入ると思ったが、セオリー通りには戦わんみたいだな。」ワタシはニヤリと笑い 「だって先生の弟子ですから。」先生も口元を綻ばせ「まあ私の弟子だからな。」二人の声がハモる。それが合図になり、神速の連撃の打ち合いになる。一撃、まだ軽い。二撃、まだまだイケる。三撃、これからだ。四撃、攻め方を変える。五撃、ギガントガントレットの効果か、攻撃が重い。捌きにくくなってきた。六撃、指先が痺れてきた。七撃、手首のあたりまで痺れてきた。八撃、手が全て痺れている。九撃、手に感覚が無い。十撃、手の中にある剣の感覚が無い。どうやら先生に弾き飛ばされてしまったみたいだ。「ふ、まあこんなところか。お前も疾風の剣術を使える様になった様だが、まだまだまだまだまだま~だ甘い。疾風は極めれば20連撃まで可能だ。10撃もいけんとはまだまだ精進が足りん。」そう言って先生が剣を納める。「ん?まだ時間が有るな。よし、稽古をつけてやろう。遠慮をするな。本気で立ち合う機会などそうそう無いからな。」先生がまた剣を抜く。ワタシは回収した剣をポケットにしまい、「今回ワタシは遠慮しておきますヨ。ワタシとバッツはこれから御仕事がくそ忙しくなるんで。其処に実体化してる桜花とサクラでも相手にしといてくれます?」まさか自分の方に振られるとは思っていなかったらしく、サクラが慌てて「わ、わたしですかっ?バッツと先生の治療で疲れてるんで無理ですよ!」桜花があたふたしながら、「私もそろそろ・・むぎゅ。」あ、桜花が捕まった。「まさかお前まで逃げないよね♥」とびきりの笑顔で強制的に桜花を実体化させる先生。あの爽やかな笑顔がまぢで怖い。あれは獲物を仕留めて美味しくいただく直前の肉食獣の顔だ。
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