~間話~引きずられていくアイツの話

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先生がリリスを尋問している頃、研究施設に潜り込んだ3バカ達は、見てはいけない光景に遭遇していた。 「これは、いや、まさか………? あそこは叩き潰した筈だ。何故この施設が此処にある?」 横の2人に聞こえない位のか細い声で唸る。 「この施設は、まさか。」 ギルモアの声が震えている。 「生物研究施設の様ですね。それも人間限定の。」 さらっとバッツが答える。 「私は昔やった職業がら人間の悪の面を沢山見てきましたから、これ位なら平気です。 ギルは兵士になるならもっと耐性つけないとこれからやっていけませんよ? 人間はこの光景よりもっと残酷に残虐になれます。」 怒りから体がカタカタと小刻みに震えだす。 「バッツ、わかったからそれ以上何も言うな。 俺は今怒りで我を忘れてしまいそうなんだ。」 目を瞑り深呼吸をして気を落ち着かせる。 此処は駄目だ。体をいじられていた頃を思い出してしまう。 クールになれ。頭と心を冷やせ。 よし、行ける。大丈夫だ。 目を開けて視界に入ったのは 「お前たちにはまだ早い。」 と言う先生の声と眼前にまで迫った先生の拳だった。 バッツとギルはすでに先生の後ろで失神している。 ワタシが先生の拳をかわせたのは本当に奇跡的だったと思う。 侵入者用のトラップネットがワタシの足に引っかかって、後頭部が床へ直接落ちたのだ。 ゴン!とゆう小気味良い音とともに後頭部へ走る激痛。 そして軌道を変えて顔面に迫る拳。 体をくねらせ拳をかわし、最後の仕込みナイフで網を切る。 床にめり込んだ拳をゆっくりと抜く先生の姿はまるで悪魔の様でした。 「ほう、これをかわすか。 お前もレベルアップしてる様だな。 たが、此処はまだお前には早い。 手加減はしてやるから黙って落ちろ。」 口の端をつり上げて悪魔が笑う。 私が先生に向かって 「それは出来ない相談ですよ先生。 この光景をみてしまった以上、オレは此処をかんぷ無きまでに叩き潰さないとダメなんです。そうじゃないとアイツらが浮かばれないから。」 冷やした怒りがまたこみ上げてくる。 体の中のギアがサードからトップへと切り替わる。 体のなかで何かがカチリとはまった音がする。 負けられない、この勝負だけは。 「何で怒っているのかはわからんが、この施設はお前が想像しているものとは全く別のものだ。軍の機密に抵触するから詳しくは言えないが、ここの被験者達は治療と能力封印の為に来ている。」
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