番外編 先生のちょっとした長話

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炎の守護者ガブリエル。 苦戦する訳だ。 先の戦闘で、魔王軍の約30%を燃やし尽くした神の剣、炎の御使い。 「ならば私から言う事は何もありません。 これ以上敬意を払う必要もないし、アナタたちはどうぞこの大地で朽ち果てて下さいな。 私はあと少しだけ生きなければならない理由が出来たので、これにて失礼いたします。 」 ガブリエルを一瞥して、重い体を引きずって最終防衛ラインへ向かう。 戦闘が始まる前にリリスが兵達に配った護符の効果と意味がやっと分かった。 魂の守護。 リリスのヤローは始めから禁術の自滅魔法ソウルイーターでこの戦闘を終わらせるつもりだったのだ。 (まだだ、まだあいつの命を終わらせる訳にはいかない。) 歯を食いしばって体を前へ前へと進めていく。 (リリスは気付いてないのかもしれんが、あいつ腹には、魔族最後の希望が芽吹いてるんだ。こんな戦闘如きで散らす訳にはいかないッ!。) 感覚の戻ってきた右手の切り口からくる痛みが失神しようとする体を強引に動かす。 そして、最終防衛ラインに到着した私は、地下神殿入口で中に入れようとしない番兵を頭突きで沈黙させ、門を蹴破って長い階段を下りていく。 地下深く下りてゆく階段にいらつきながら、最下層に到達。 神殿の扉を蹴り飛ばして、呪文詠唱中のリリスに渾身のパチキをかます。 しゅーしゅーと頭から湯気を出して失神するリリス。 魔法陣を破壊する余裕が無かったので、仕方なく魔法陣はスルーし、気絶したリリスを引きずって地下神殿から地上へと上がる。 医療班のテントにリリスを投げ込んだ時、体のリミッターがようやく作動したらしい。 視界が真っ暗になり、意識が闇に落ちた。
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