はじまりのはなし

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「いや、もう遅いです。」頭の中に直接、少女の様な声が響きわたる。(テレパス?一体何処からだ?)「貴方には見えない所からですよ。偽善大隊の隊長さん。」私は冷静になって気配を探ったが、辺りに気配はない。マリオン先生の方を向いてみるが、先生も首を振る。「だから無駄ですってば。 私はただの通りすがりです。テレパスと千里眼の力が有りましてね、あなた方の状況に対して見るに見かねて助け船を出してるだけなんです。名前は名乗れませんが、情報位は提供してあげられます。」 「胡散臭いぞ」「ええ。自分でもそう思います。しかし、ピンチの人に手を差し伸べるのは私の性分でね。まあ、狐に化かされたとでも思っていてください。悪い様にはしませんから。」「隊長?急に黙り込んでどうしたんです?」ギルモアが私に話し掛ける。「ん?お前には聞こえなかったのか?」「何の事です隊長?」「いや、自称ただの通りすがりさんが、私たちを助けてくれるそうだ。テレパスで語りかけてきたよ。」 「 ふーん。そうなんですか。」すぐ横から声がして、嫌な予感と共に鋼鉄製のハリセンが頭に直撃する。すぱーんとゆう気持ちいい音を立てて、私とギルモアが頭を抱えて激痛にのたうちまわる。「まったくうちのアホ隊長共は怪我人ほったらかして、何のんびりくっちゃべってやがりますか。しばきますよ?」振り返るとそこにはこの国では珍しい黒髪を腰のあたりまで伸ばした少女が鋼鉄製ハリセンを持って仁王立ちしていた。「いや、もうしばかれてるし。」涙目で私とギルモアの声がハモる。 「何か言いましたか? 」「いえ、何も。」またしてもギルモアと私の声がハモる。「よろしい。では生き残りの方々の治療を始めます。といっても生き残りは其処の一人・・・・ってマリオン先生?」「ごぼっ、やあ、チェリー久しぶり。7年ぶり位か?」「先生、とりあえず積もる話はまた後で。今は治療を始めます。」「げふっ、気にするな。もう手遅れなんだ。内臓が3つ程やられていてな。魔力で補強したが、そろそろ限界らしい。」先生の体がカタカタ震えだす。「なんだ、3つ位ならすぐにどうにかなりますよ?」 「なに?」私は横から二人の会話を聞いていたが、チェリーのヤツめアレを始めるらしい。「最近ハイプリーストになりまして、オドではなくマナの力が使えるようになったんですよ。体に負担がかかりすぎるから、1日一回までしか使えないのが欠点ですけど
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