はじまりのはなし

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死んでない限りはどんな傷だって治してみせます。それとですね、マリオン先生。私の名前はチェリーではなくサクラです。いい加減な事ばっかり言ってたら、治療の時にオーガ顔に整形しますよ?其処で突っ立って笑ってる二人もです。時間がない状況で、余裕とユーモアたっぷりなのは良いですけど、時と場所も考えて下さいっ!」チェリー・・・もといサクラが激昂して、一息つくと表情を真顔に戻し 「ではマリオン先生の治療を開始します。治療魔術の使えないそこの隊長(バカ)2人はテレパスの人から情報を引き出して大隊をこれから何処へ向かわせるのか検討しておいて下さい。それまで位になら先生の治療も終わらせますから。」「へいへい。なんかひでー言われ様だが、俺達は俺達でやれる事をやりますねえ。いくぞギルモア。至急小隊の隊長どもをテントに集めて作戦会議だ。伝令兵、おいバッツいるんだろう。サクラの治療より遅くなったら、しばかれるのは俺達なんだからな。5分以内に全員集めておいてくれ。まあ、大した事は出来んとは思うが情報の確認位なら出来るだろうよ。」「御意。」私の後ろの影から、黒装束の大柄な男がタケノコが生える様ににょきっと出てくる。「しかし、お前もうちょっと出てくる場所選べんかね。お前と分かっていてもたまに反射的に攻撃してしまうのだが。」「それは無理です隊長。術の仕様なので、こればかりはなんとも。まあ別の術との併用で結構どうにかなりますが、それでは面白くないし、鍛錬にもなりませんので。」「オイ、面白くないとか言わなかったか今?」「・・・・ あー言葉のあやとゆうヤツです。気にしないで下さい。」「おーい。その間はなんだ?」半眼でバッツを睨んでいると、横からギルモアが小声で「隊長、早く我々も準備しないと、サクラが横で青筋立てて睨んでます。」「ちっ、バッツ、運のいいやつめ。さっさと小隊長どもを集めてこい。」「御意。」バッツが「にゅるん」とかゆう音を立てて私の影に沈んでいく。「あー。あっちで女の悲鳴が聞こえるなー。黒魔術と精霊魔術の小隊長、女だったからなぁ。この時間だと、沐浴タイムか。アイツも分かってやってるからタチが悪いんだよなー。まあいいか。とりあえず先にテントで待ってようギルモア。」「そうですね。では行きましょうか。」先生の治療を横目に私達はテントに向かうのだった。
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