雛人形

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       ―――――……ぇ  微かに聞こえる声。  夢の中で、桃は長い廊下に佇んでいた。  ――――……ぃ  遠くの方から聞こえる、その声に桃は耳を澄ます。  ――――……っ  その声は微かに聞こえる笑い声と共に次第に桃に近づいていく。  その頃桃の頭は警告を告げるアラームが鳴り響いていた。  "この場にいては いけない"  元元勘の鋭い方ではなかったが、どうしてもその場にいたくなかった桃は、その声から逃げるように走り出した。  しかし、そこは夢の中。  走っても走っても声はどんどん近づき、桃のすぐ後ろ迄近づいてきていた。  そして、桃の耳元に届いた声。  「―…綺麗な顔ね、頂戴」      
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