第1章~愛される実感~

3/5
前へ
/104ページ
次へ
「おはよう…なぁ由利、そろそろさ、その恩人てのやめてくれないか?」 「え、だって朋也と渉がいなかったら私は今ここにいないのよ?」 数ヵ月前、桜花高校の入学試験の日、3人は初めて出会った。  朋也と渉が試験会場に入ろうとしたとき、隣からガサガサと草をかきわける音が聞こえた。 そこには受験票をなくした由利がいた。 そこで、朋也と渉も協力して受験票を探したところ、時間ギリギリで見つかったのだった。 その結果、3人とも合格し、同じクラスになり再会したというところだ。 「私みたいに頭良くてもあのままじゃここ受かんなかったからさ」 由利はおちゃらけたように言ったが、頭が良いというのもあながち嘘ではない。 入試の点数は500点満点中498点、しかも、その落とした2点というのも、答に単位を書き忘れたという…まぁ事実上の満点だ。 そんなこともあり、朋也と渉は入学後由利に勉強を教えてもらったりしている。 「私たちってさ、まだ会ってちょっとしか経ってないのにもう仲良しじゃん?他の人とも早く仲良くなりたいなぁ」 「お前なら大丈夫だろ。それよりも問題はこの朋也君だって…」 渉は由利に説明口調で話した。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

166人が本棚に入れています
本棚に追加