片道切符

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高校入りたての頃、新しい友達ができるまで、私は同中のバレー部の子と下校していました。 偶然にも、お互い電車通学で、帰る方向が同じだったのです。 彼女は活発で行動力があり、どちらかと言えば内向的な私とは反りが合わないタイプの子でした。 ある日どこの学校でも午前授業で、帰りの駅が非常に混雑していた時がありました。 ホームはたくさんの学生でいっぱいで、この電車に乗り切れるかと一抹の不安がよぎったほどです。 その溢れんばかりの人数が彼女の元々の性格である闘争心を刺激したのでしょう。「絶対この電車に乗ろうね!」と最早やる気満々です。 私は「次にしない?」と諭しましたが「何言ってんの!これを逃したら30分も待たなきゃいけないんだよ?」と一蹴されてしまいました。 やがて電車が到着しドアが開くと、人の波が一斉に押し寄せました。 私はその勢いに押され転ぶまいとするのに精一杯で、彼女が既に電車の中で私の名前を呼んでいても、どうすることも出来ません。
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