四章 彷徨うもの

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「てめえ……人の物を勝手に持って行きやがって」  ミオンと相対したクロスは、開口一番に彼女に対して怒りをぶつけてくる。  やはり、クロスがミオンを追いかけてきたのは、ペンダントが原因のようだ。  あの二人の謎の少年が描かれた絵が大事なのか?それとも、ペンダント自体に特別な意味でもあるのか?それは、現時点ではクロスだけが知り得ることである。  そんなクロスを前にするミオンは、何処か余裕の表情で彼の言葉を聞いていた。 「フフン。何とでも言いなさい。今の私は、あんたが最も欲しがっている情報を握ってるんだから。あまり邪険にして、私の機嫌を損ねないほうがいいと思うよ」 「なんだ?」  不審な表情をするクロス。  そんな彼に、ミオンはハッキリと告げるのだった。 「鈍いわね……『彷徨うもの』が何処にいるか掴んだっていうのよ」  そう言うと、彼女はクロスの方を見てニヤリと笑みを溢す。  これまでは、明らかに立場が下であったミオンが、『彷徨うもの』の情報という切り札を手にすることで、初めて対等以上となりえたのである。  この瞬間、クロスがどんな反応をするかをミオンは楽しみにしていたのだ。  これまで、強気であったこの男が果たしてどう出るのかを……
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