四章 彷徨うもの

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 彼が今話せないと言った理由……それは、以前にミオンがクロスに語った、彼女の故郷の話に近いものに思えた。  あの時の自分も、決着がついた後だから話せたという部分が大きい。  だから、ミオンもその話を聞くのは、それなりの時機であるほうがよいと認めたのだ。  それに、ミオンの中には、クロスの本音の部分が聞けたことで少し満足できたという部分もあったのかもしれない。 「ただし、ちゃんと話すまではペンダントは預かっておくわ。いいわね?」 「分かった……」  さすがに、そこはクロスの方が妥協する。 「それじゃあ、これから私の知ってることを話すわね」 「……ああ、頼む」  クロスがそう言うと、ミオンはルヴィたちとの会話を思い出すようにしながら言葉を発するのだった。 「時空の狭間って聞いたことある?」 「時空の狭間……?」  どうやら、クロスはその場所のことを知らないようだ。それは初めて聞く言葉のようで、彼も怪訝な顔をしている。 「あ~言っておくけど、その詳しい説明は出来ないからね。私も人から聞いただけだから」  ミオンは、先にそう言って念を押しておく。  事実、彼女自身もまだ理解出来ていない部分がほとんどなのである。 「分かった。とりあえず続けてくれ」  クロスは、その先の情報を要求した。  その時空の狭間というものが何なのかということよりも、それがどう『彷徨うもの』と関係しているかということのほうが彼にとっては重要なのだ。
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