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「それは……分かんない。ただ、悪い人には見えなかったし、それに……」
「それに、なんだ?」
クロスはミオンの言葉の続きを促す。
「その時空の狭間に行くための手段もくれたし……」
その言葉に、クロスは反応を示した。そして、彼はニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
「フッ……面白いじゃねえか。なら、それを使ってみれば全てがハッキリする」
「まあ、そりゃあそうだね」
ミオンはあっさりと頷いた。
彼女もクロスと同じで、ごちゃごちゃと考えるよりは、まず飛び込んでみるというタイプのようであった。
「じゃあ、早速頼む」
「え?」
一瞬、何のことか分からなかったミオンが一度聞き返す。
「……そいつを使って、時空の狭間への道を開いてくれ。俺の方はいつでも構わない」
「何?もう……行くの?」
いきなりのクロスの提案に対し、ミオンの返しは少々歯切れが悪い。
同じタイプだとはいっても、この場でいきなりそれを実行して、敵地に乗り込んでやろうとする豪胆さは彼女には無かったようだ。
ミオンの場合は、もう少し準備やら心構えといったものが必要そうに見える。
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