四章 彷徨うもの

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「弾丸?」  それをどのように使うかが想像出来ないようで、クロスは頭を捻る。 「そう、こいつを撃ち出してやるの」  ミオンはホーネットを取り出して、そこに弾丸を詰め始めた。  彼女は手馴れたもので、すぐにセットし終えるのであるが…… 「……はい」 「あん?」  ホーネットに弾を詰めると同時に、彼女は作業をじっと見つめていたクロスの前に銃を差し出した。 「なんだ?」  状況を理解出来ていないクロスがミオンに尋ねると、彼女は不本意だというような表情をしながら言った。 「ほんとは何か癪なんだけど、あなたに使わせてあげるわ。これは、銃にオーラを込めて撃ち出さなきゃ発動しないらしいの」 「オーラだと……?」 「そうよ、だからハイ」  ミオンは、クロスの手にホーネットを握らせる。  銃を受け取ったクロスは、それをまじまじと見つめていた。 「銃にオーラを込める……そういう使い方も出来るのか」  おそらく彼は、オーラのそのような使い方を知らなかったのだろう。興味深そうにそう呟くのであった。
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