湖に沈む僕の腕

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嗚呼どうして僕は生まれてきたのだろう、そう思うことが良くある。 どうせ人が行き着く場所は、“死”と言う名の終焉なのに、なにをそんなに一生懸命になる必要がある?最初から生きていなくたって結果は同じ。生きていたって無駄だと思う。 他人なんて信じる価値も無く、顔を合わせれば相手の裏の裏を探る。裏の裏は表じゃないことを知ってから、僕は何も信じれなくなった。 信じられるのは自分だけ。愛せるのも自分だけ。 自分は自分を裏切らない。 だけど、だけど届かないんだ、触れることが出来ないんだ。 水面にうつる自分の姿に手をのばしても、水面に波紋が広がるだけで、僕の腕は沈み底にぶつかる。 そうすると水面の僕が僕に問いかけてくる。 どうして君は生きてるの、行き着く場所は終焉なのに。 この瞬間、僕はいつも絶望するんだ。
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