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「行かないでっ」
亜麻色の長く艶やかな髪が風に吹かれ乱れている。
まだ十八にも満たない年齢の瑠璃香(るりか)は泣きながら必死に訴えた。
「ゴメン……こうする他無かった、次の俺達の生まれ変わりに全てを終わらせて欲しいんだ、負の連鎖を断ち切って欲しい」
全身傷だらけの同じ歳位の大地(だいち)は、怪我をしている左肩を右手で押さえながら、泣いている瑠璃香に優しく言った。
「私達、まだデートだってした事無かったのに、こんな別れ方ってイヤだよ」
悲愴感漂う瑠璃香の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
大地は膝を下ろし崩れ落ちている瑠璃香と同じ目線に立った。
「俺もさ、どれだけ悔しいか……だけど、誰かがこの流れを変えないと」 瑠璃香を優しい口調で諭そうとする大地。
「だけどっ……」瑠璃香は泣きながら声に成らない声を出した。
「今だから言える事だけど、俺、ずっと瑠璃香の事が好きだった、愛してる」
その言葉に瑠璃香は泣き崩れた。
ずっと待っていた言葉なのかもしれない。
大地は肩の骨が砕けている痛みを堪え、血が流れている口を開いた。
「瑠璃香、今度生まれ変わったらさぁ、結婚しよう、ずっと一緒にいよう」
そう言うと大地は立ち上がり後ろを振り返った。
そして、気合いと共に、まばゆい白い光に包まれた大地は、一筋の光を残し目の前の敵に向かい飛び掛かった。
「ガジャルッッッ!!」
瑠璃香は悲鳴にも似た大声で叫んだ。
「だいちぃぃっっ!!」
そして全ての世界を光りが包み込んだ……
~ H I K A R I (光)~
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