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昼のチャイムが鳴ると同時に、クラスの生徒達は弁当箱とイスを持ち、気の合う仲間同士で固まりだす。
ソラの机に、タケル(宮本 猛)とシンジ(斉藤 臣司)がやって来た。
タケルはソラと同じ空手部で小学校からの馴染みである。身長が百八十程あり、ガッチリとした体付きが目立つ。
シンジは高校に入学して知り合った仲だ。小さい頃からサッカーを続けているせいか肌が常に日焼けしている。
もちろんサッカー部だ。
「食ったらサッカーだぜ!」タケルは弁当のフタを開けながらいつもの口癖を言った。
シンジは卵焼きを箸で掴みながら「俺のドリブルを抜ける奴はいないぜっ」と言い卵焼きを頬張っている。
ソラは鼻で笑った。
「昨日俺が抜いたばっかだろ」
「うるせー」シンジは半笑いで言った。
ソラは笑いながら弁当のフタを開けたが、あまりの衝撃的な光景に凍り付き、フタを閉めた。
――「~今日の弁当はお前の大嫌いなシリーズで固めておいた!楽しんで噛み締めろ!偉大なる父より~」――
「どうしたんだよ?」シンジの問いに「いやぁ~、何も……」と返すソラ。
「松之宮がお前の事見てるぜ」
タケルの言葉にソラは後ろを振り返ったが、アンリはクラスメイトの七瀬 美津穂(ななせ みつほ)と食事を楽しんでいる。
ソラが視線を自分の弁当箱に向けた時にはフタが開けられ中の衝撃的な光景が露わになっていた。
タケルとシンジは何事も無かったかのように無心で弁当を食べているが、その顔からは先ほどまでの笑顔は消えていた。
ソラの弁当箱の中身は全面緑色……ピーマンにブロッコリー、キュウリとキャベツがごちゃ混ぜであった。
その中心にトンカツソースで描かれているハートマークが虚しく黒光りしている。
「あのクソオヤジ……」
ソラは再びフタを閉めた。
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