第1話 「神城 空」

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 ニヤニヤと不適な笑みをチラつかせながら、五~六人の不良学生達が、ソラに向かっていく。   一人は黒い詰襟(つめえり)の学蘭を脱ぎ捨て、また一人は肩を慣らす様に回している。他の不良学生達も指を鳴らしたりなど、自分の中で喧嘩の準備をしていた。    龍二に胸ぐらを掴まれているタケルは覚悟を決め、関節技を掛けようとした。  しかし、龍二はタケルの腕を振り払い、肩を両手で引き寄せ、顔面に渾身の膝蹴りを喰らわせた。  重く鈍い音が辺りに響き渡り、タケルの顔から血が流れた。 「おいっ! タケルっ……大丈夫かっ」シンジはいつも以上に自転車のハンドルを握りながら叫んだ。    耳に大きなリングピアスを付けている不良が、ソラの顔面に渾身の拳を振りかぶる。  だが、ソラは手の平であっさりと受け流し、相手の顎に強烈な肘打ちを喰らわせた。   白目をむき、崩れ落ちる不良を前に、周りの不良達の足が止まる。   「止めとけ、お前らじゃ相手になんねぇ」ソラは不良達に鋭い目つきで言い放った。
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