第2話 覚醒

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揚子は自分が感じたことを手短に今日子に伝えた。 「うちの教室のガラスが割れる時に黒い影が見えたの。 それで廊下に出たら、また黒い影が見えて、私はそれを追って来たってわけ。」 今日子は、揚子の口から予想外の言葉が出たので思わず聞き返した。 「・・・黒い影?なにそれ?」 揚子は急ぐかのように早口で答えた。 「わからない!でも、何か気になるの・・・。 一緒に来てくれない? ・・・コンコンなら何とか出来るかもしれない!」 またもや意外な言葉に戸惑う今日子の返事を待たずに、揚子は今日子の手を引き、実験棟へと向かっていった。 二人は実験棟へと入って行き、割れたガラスを踏みしめながら奥へ進んでいく。 資料室、生物室、実験準備室と順に回っていくが、ガラスが散乱している以外は目立った変化はない。 すると、隣の理科室から微かな話し声が聞こえてきた。 理科室は主に理科の授業での実験に使われていて、放課後は化学部の活動の場となっている。 二人は恐る恐る実験準備室から出ると、隣の理科室の様子をうかがった。 理科室の扉は閉ざされていてカーテンも閉まっているため、近くに来ただけでは部屋の中の様子をうかがい知る事は出来なかった。 揚子が静かにドアを開けると、二人はその隙間からカーテンの端を持ち、部屋の中を覗き込んだ。
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