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部屋の中も真っ黒なカーテンが閉ざされていたが、時折カーテンが風でなびく為に、部屋の中の様子をしることが出来た。
今日子の目に映ったのは、まず部屋の真ん中で棒立ちになっている女子生徒が一人。
その顔は下を向いており、表情は分からないが、口は閉じたままである。
そして、割れたガラスにまみれて床に倒れている男子生徒が二人。
その二人はピクリとも動かず、話している様には見えなかった。
では、誰が話しているのだろうか?
今日子が揚子の顔を覗き込むと、その顔は恐怖に引きつっていた。
今日子の視線に気づき、揚子が話しかけた。
「あの黒い影だよ、さっきうちの教室にいたの。」
今日子が再び教室の中に目線を移すが、黒い影のようなものは見当たらない。
「黒い影ってどれ?」
今日子が聞き返すと、揚子が痺れを切らすように答える。
「あれだよ!女の子の真ん前!」
思わず大声を出してしまい、慌てて口を塞ぐ揚子。
揚子の目には、声に気づきこっちへ向かってくる黒い影が映し出されていた。
黒い影が近づいてくるにつれて、次第に黒い影の全貌が見えてきた。
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