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銀色の髪から眩いばかりの光が発せられ、あたりを光で包んだ。
光の中から現れたのは今日子ではなく、銀色の狐だった。
狐が白装束の女に向かい怒声を発する。
「低級なミサキごときに、この銀毛狐の使いをくれてやるものか!」
すると、白装束の女も反論する。
「人間ではなかったのか?何の妖気もしなかったではないか?
返り討ちにしてくれるわ!!」
白装束の女は、釘を振りかぶって襲ってきた。
舞い乱れた髪の隙間からは濁った白目が見えた。
目にも止まらぬ速さで向かっていった白装束の女に対して、銀毛狐は何の構えも取らなかった。
白装束の女が釘を振り下ろした。
しかし、その先に銀毛狐の姿は無かった。
「馬鹿め、力の差も分からんとはな。」
いつの間にか白装束の女の後ろに回り込み、呟く銀毛狐。
すると、銀毛狐は大きな口をあけて白装束の女に飛びかかった。
次の瞬間には銀毛狐の鋭い牙が白装束の女の脇腹に突き刺さっていた。
銀毛狐は二度三度首をひねると、そのまま力任せに白装束の女の身体の脇腹をえぐり取った。
「グッ!ギャー!!」
悶え苦しむ白装束の女に対し、間髪入れずに襲い掛かる銀毛狐。
銀毛狐の大きな口は白装束の女の喉笛を、というよりも首そのものを捕らえていた。
躊躇せずにそのまま口を閉じる銀毛狐。
白装束の女の首が廊下の床へ転がる。
すると、首だけになった白装束の女は断末魔を上げ、消えてしまった。
「・・・ふん。」
見下したような顔をした銀毛狐。
血まみれであったはずの口元の血も、消えていった。
すると、今日子が目を覚ました。
・・・いつもと感覚が違う。
立っている筈なのに目線が低い。
今日子は自分の掌を確認した。
今日子の目に映ったのは、紛れも無く獣の掌であった。
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