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「・・・これは夢?今、私が女の幽霊と戦ってる夢を見てた続きなの?」
今日子がそんなことを考えていると頭の中から、やや甲高い滑らかな声が聞こえてきた。
「夢などではない。全て現実だ。」
今日子は、驚きながらも頭の中で念じるように返事をした。
「現実?人間じゃなくなって幽霊と戦ったりするのが、現実?」
すると再び頭の中に声が聞こえた。
「・・・全て現実だ。これからはお前が戦うんだ。
戦い方は狐の身体が覚えている故、お前の精神力が勝負を決めるだろう。」
今日子が珍しく声を荒げて反論する。
「なぜ私が戦わなくちゃならないの?
あなたが戦えば良いじゃない!」
その質問に対しても頭の中の声は実に冷静であり、今日子は圧倒される力強さを感じるような感覚さえ覚えた。
「お前の肉体に我、銀毛狐が宿っているのは知っておろう。
人間と狐が力を合わせた時、強大なる邪の力を滅する力が生まれるのだ。
もっとも、今のような小物にやられる銀毛狐ではないがな。」
今日子は一度言葉を失うも、決心して答えた。
「嫌だって言っても無駄なんでしょう?
それが運命なら、やるしかない・・・じゃない?」
思い切りの良い答えに、上機嫌で返事が返ってくる。
「・・・そういうことだ。
我らに日本の平和がかかっているのだ、共に戦おう。
銀毛狐の力を必要とする時には再び姿を現す。」
そう言い残すと、頭の声は聞こえなくなった。
そして、いつの間にか今日子の目線が慣れ親しんだ高さへと戻っていた。
今日子は何かに気が付き慌てて身体に視線をやるが、直後に落ち着きを取り戻した。
今日子は、いつもと変わらぬ制服姿をしていて、制服にはシワ一つなかったのだ。
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