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今日子は、気絶したままの揚子の頭を膝枕に乗せながら考えた。
「今日子には、あの女の人が見えていた・・・。」
琥珀色をした、狐の瞳からでないと今日子には霊が見えない。
それに対して揚子は稲荷神社の事件が起きて以来、霊の姿が見えるようになっていたのである。
それに加えて、狐が口にした言葉に対して困惑する今日子。
「揚子が・・・使い?
揚子は私の大切な友達だよ!巻き込んだりしたくない!!」
漆黒に戻った今日子の瞳からは涙が溢れていた。
今日子の頬の辺りで、その涙を受け止める温かい手があった。
「だいじょうぶ。私はコンコンの味方だから!
巻き込むとか言うなよ~、水臭いっ!!」
突然の言葉に反応して今日子が目線を落とすと、目を覚ました揚子が膝の上で微笑んでいた。
いつもと何ら変わりのないはずだった1日は、こうして終わりを告げた。
「口裂け女」今日子と、「霊能力者」揚子のコンビが誕生した瞬間であった。
~第2話、終わり~
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