序章

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恐山――そこは死者と生者が同時に存在できる、あの世とこの世の境。 積み上げられた白い石、白い砂浜、そこに降り立つカラスがガアガアとうるさく鳴く。 そして真っ赤なかざぐるまがカラカラと音をたてて廻る以外は、余計な音は何もない。 地蔵達は河原を見つめる。 ひどい硫黄臭が鼻をつく。 そんな殺伐とした山の麓町。 そこに彼女は住んでいた。 「あんた達!! 鬼ごっこで遊んだら駄目だって、何度言われたら理解できるのよーっ!!」 耳をつんざくような怒鳴り声。 それをバカにするように笑いながら逃げていく子供達。 彼女の名前は、三岸アオサ。この町に知らぬ者はいない、“遊びを禁じる少女”である。 しかし、彼女が必死に遊びを禁じ続けている理由を知るものはいない……。 なぜ彼女は、遊びを禁じ続けているのだろうか?
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