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蒼色の上質な紙には、一つだけ条項が書かれていた。
――“汝、自ら選び取りし、如何なる運命も受け入れん”
懐かしい何かに押し潰されそうになって、少女は泣きそうになっていた。少年はちらりと少女を見て、何事も無かったかのように、平然と紙に目を戻す。
◆
「―――確かに。」
囚人服の少年は、少年少女から紙を受け取ると、目を細めた。
「時は、全ての物に結末を運んでくる。例え、目や耳を塞いでいたってね。」
“神原葬希”“神原有希”
有る希望を、葬る。
絶望の果てに、この子達は何を見据えるのだろうか?
「さぁ、始まるよ。」
どこかで鐘が、鳴り響いた気がした。
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