桜木の真下で

春

「あー…ゴホッゴホッ」

「友子～さっきから咳ばっかしてるよー？」

「わかって…ゴホッ…る」

カラオケの帰り道…咳が止まらない…
むぅ～

「だいじょ～ぶ？風邪なんじゃない？」

「えー？風邪とかラッキー！ゴホッ…学校休めるじゃん」

堂々とあの退屈な空間を抜け出せる…やったね

「も～そんなことばっか考えて～」

「理絵がマジメなだけだも～ん」

「全く…」

「へへっ」

「とりあえず明日は学校休んだら？」

「言われなくてもそ～するよっ」

そんなに膨れっ面しなくてもい～じゃん

「も～ホントに心配してるんだからね？」

「分かってるって…ありがとね…ゴホッ」

「でもこの時期に風邪とか珍しいよねぇ？」

「まぁでも…ゴホッ…季節の変わり目って言えば変わり目だし」

桜が咲く私の大好きな季節

「私は花粉症とかの方が心配だけどね」

「去年理絵すごかったもんねぇ！」

目も鼻も赤くなってて鼻水ダラダラ…面白かった

「それは言わないでー」

「ティッシュ必需品だったしねぇ」

「友子ー」

「あのクシャミ可愛かったよ？あの「クチュン」ってやるやつ」

「友子ー！」

ちょっと涙目になってるからそろそろ止めなきゃ…なんか可哀相…カワイイけど

「ごめんごめん。そだ、理絵！春休みっていつから？」

「確か…来週の月曜日ぐらいじゃない？」

「いよいよ春休みだぁー！やったぁ…ゴホッ」

これは風邪が長引けば長期休暇が待ってるんじゃないの！？

「どうせ、風邪が長引いてそのまま休みにはいっちゃえーとか思ってるんでしょ？」

「うっ…ちがうもん！」

なんでわかったんだろ！？

「顔に当たってますってかいてあるよ～」

「かいてないもん！」

「友子は顔に出やすいのよ」