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「やっぱり、樹乃だったんだね」
俺の言葉に頷く旦那。
あとの2人は首を傾げて
ハテナを飛ばす。
「佐助は樹乃ちゃんのこと、知ってるの?」
知ってるもなにも
「樹乃、は」
言い掛けると同時に
教室のドアが開く。
ばっと振り向くと
うちのクラスの数少ない
女子だった。
「あっ!私のお隣さん帰って来てる!」
嬉しそうに言う声は
まさに樹乃の声で。
「えーっと…たしか猿飛佐助くん!猿飛君だよねっ」
「…え?あ、あぁ」
「宜しくね猿飛君!」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
「旦、那?」
俺の考えに気付いたのか
小さく頷く旦那。そろりと
視線をかすがに向けると
気まずそうに逸らされた。
嫌だ誰か嘘だと言って
許さない、絶対に
その想いと共に俺はまた
教室を飛び出した。
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