‐突然すぎたプロローグ‐

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   ふわり、ふわり。  全身にかかる得体の知れない浮遊感で、いつの間にか沈んでいた意識も浮かび上がる。 「――……はっ! 此処は誰!? 自分は何処!?」  飛び起きて定番のネタを叫ぶものの、誰もいないらしく、空間に虚しく吸い込まれてしまいマシタ。  四方八方から注がれる視線が……すごく、恥ずかしいデス……←  って、何か変デスね?  ふと生じた違和感に、顔をぐるりと一周させると――。  イメージは宇宙空間。  それは暗い黒のような、昏い紫のような。  そこに常識という空気はなく。  プラネタリウムのようだ、と思った。  ただ、そこに在るのが『星』ではなく、『眼』であるだけ。  たまに見える標識さえも、異質さを引き立てる存在でしかなく。  明らかに異常。  明らかに異様。  明らかに――異次元。 「……いやいや。いやいやいや!」  そして困ったことに、そんな異界に自分は心当たりがありマシタ。  いやもう、信じられない気持ちで胸が一杯一杯(?)なのデスが、しかし残念なことに、心の何処かで確信してしまっている自分もイマス。  そして、この口を動かしたのは、どうやら信じている方の自分だったようデス。 「――どう考えてもスキマデス、本当にありがとうゴザイマシタ」  はてさて、なんで自分はこんな事になってしまったのデショウ?  そう、それはたった数分前の出来事が全ての始まりデシタ――。
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