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~ プロローグ ~
――― ここは大陸“サンクチュアリ”
この大陸では気候や磁場のためか月が青く輝く。
その神秘性が大陸名の由来だろう。
人口は魔力を持つ人種、通称“魔族”が大半を占めている。
また残りが全て力を持たない人種、通称“人族”かというと、そうではない。
人族も少なからずいるのだが、他には人と獣、二つの姿を持つ“獣人族”と呼ばれる種族が数多く住んでいた。 ―――
とある部屋の中、六人の人物達が机に腰を下ろし向かい合っていた。
簡素な造りの部屋に窓はなく、それどころか天井には照明も見当たらない。
代わりに四方の壁には蝋燭が灯され、床には六つの角がある星が描かれている。
机はその星の角に中心を囲む形で置かれていた。
「たしか、次の受験者で最後だったかな」
一人の男性が静寂を破り話し始めた。
「年々受験者の数が増えてはいるけれど、どうも素質が今一つ足りないね」
そう話す手にはカードの束、机の上には数枚の伏せられたカードが並べられている。
「今年は……二、三人受かれば良いところかな」
と残りの束を机に置き、顔を上げた男性の頬を薄い金髪がさらりと撫でた。
その顔に輝く朱色の瞳は共に座っている人物達をとらえ、右から順に座る黒髪の男性から白髪の老人、燃える様な逆立った赤毛の男性……と流れるように移っていく。
黄色がかった明るい茶髪の男性、そしてこがね色をした長髪の女性に移り、その瞳が再び茶髪の男性をとらえたのは「しかし」と咳払いが聞こえたからだ。
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