~ プロローグ ~

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「今年は昨年以上に長引いてしまった」  続けた茶髪の男性に、黒髪の男性が「まったくだよ」と頷く。 「本来なら私は既に家へ戻り、作業に没頭しているはずだったんだがね」  そう無精髭を撫でる黒髪の男性に続き、白髪の老人も溜め息を漏らす。  その口許には男性の不揃いな髭とは違い、整えられた長い顎鬚を蓄えている。 「本当に困ったものだ」  顎鬚を撫でながらそう言った老人に、 「なんて白々しさだ!」  と憤りを露に赤毛の男性が立ち上がりこう続けた。 「まるで他人事のように!お前の孫が悪戯を繰り返すからだろう!!」  その声は雄々しく、老人へと向けられた指先は怒りで震えている。  鼻息を荒げる男性に対し、老人は呼吸を乱す事なく落ち着いた態度で「悪戯ではない」と諭す様に返す。 「あの子はあの子なりの理由を持っておる。決して悪ふざけをしては―――」 「御託はいい!」  赤毛の男性が遮り、「そもそも」と続けこう言ったのだ。 「次の少女もその巻き添えを喰ったらしいじゃないか!!」 「少女?」  金髪の男性が呟き、その手は伏せられたカードを捲り始める。  その隣りでは黒髪の青年が首を横に振り「どっちでも構わないよ」と溜め息を漏らした。
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