25人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
「今年は昨年以上に長引いてしまった」
続けた茶髪の男性に、黒髪の男性が「まったくだよ」と頷く。
「本来なら私は既に家へ戻り、作業に没頭しているはずだったんだがね」
そう無精髭を撫でる黒髪の男性に続き、白髪の老人も溜め息を漏らす。
その口許には男性の不揃いな髭とは違い、整えられた長い顎鬚を蓄えている。
「本当に困ったものだ」
顎鬚を撫でながらそう言った老人に、
「なんて白々しさだ!」
と憤りを露に赤毛の男性が立ち上がりこう続けた。
「まるで他人事のように!お前の孫が悪戯を繰り返すからだろう!!」
その声は雄々しく、老人へと向けられた指先は怒りで震えている。
鼻息を荒げる男性に対し、老人は呼吸を乱す事なく落ち着いた態度で「悪戯ではない」と諭す様に返す。
「あの子はあの子なりの理由を持っておる。決して悪ふざけをしては―――」
「御託はいい!」
赤毛の男性が遮り、「そもそも」と続けこう言ったのだ。
「次の少女もその巻き添えを喰ったらしいじゃないか!!」
「少女?」
金髪の男性が呟き、その手は伏せられたカードを捲り始める。
その隣りでは黒髪の青年が首を横に振り「どっちでも構わないよ」と溜め息を漏らした。
最初のコメントを投稿しよう!