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「それよりも私はこんな事でこれ以上時間を潰したくないんだ」
「こんな事!」
そう言ったのはこがね色の髪をした女性。
「一体貴方はこの試験を何だと思っているの!これは魔術師を選ぶ、魔術師公認試験なのよ!」
と両手で机を叩き立ち上がる、その拍子に女性の首に巻かれていたスカーフがひらりと宙に舞った。
「それに私達も受けた試験よ。貴方が大好きな作業に没頭できるのは、魔術師に対しての援助資金のおかげでしょうに!」
そう言うと今度は片手で机を叩く。
その睨む視線から逃れる様に、黒髪の男性は肩を竦めこう言った。
「それを全額飲み代にしてしまう方もいますけどね」
「……ぐっ!」と声を漏らした赤毛の男性に、間髪を入れず女性が振り向く。
「まったく、貴方は―――」
「ま……待つんだ!」
赤毛の男性は女性が言い終わるより早く立ち上がり、キッと睨む女性にこう言った。
「こんな事をしていては、少女が待ちくたびれてしまう」
「私も待ちくたびれているのだがね」
そう肩をすくめる黒髪の男性を一瞥すると、女性は「どうされますか?」と金髪の男性を振り向く。
最後の一枚を捲った男性はその手をとめ、じっとカードに見入っていた。
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