朝焼けの様に

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授業中。 俺はぼーっと褝の後ろ姿を眺めていた。 休み時間ごとに代わる代わるクラスの男子が褝に声をかけに来る。 正直イラつく。 褝はにこりともせずに相手をするがそれでも嫌だ。 (俺、独占欲強かったんだな…) 昼休み。 俺は鞄を持って屋上へ上がった。 誰も居ない。 タバコに火を付けた。 「はぁ………」 ため息混じりに煙を吐く。 タバコを加えたまま、屋上の入り口の屋根に上がった。 例え誰が来てもまず見えないし、気付かないだろう。 一息つきながら空を見ていた。 タバコをもみ消し、寝そべる。 だんだんうとうとしてくる。 ガタン… 誰かが屋上に来たみたいだった。 タカン…たかん… 近づく足音。 暫くして甘い良い匂いがしてきた。 懐かしい匂い。 うっすら目をあける。 「ひ…とえ?」 俺はぼーっと尋ねる。 「光…ちゃん?」 ぱちっと目が覚めた。 「ひ、褝?!」 (また懐かしい呼び方を…) 不意に起き上がる。 「や、あの…何処かなぁって」 「ここって良くわかったな」 「だって、タバコの匂いがしたから…」 俺はびっくりした。 「そんな匂うか?」 「中学の頃から匂い変わらないからね」 俺は度肝を抜かれる。 (どんな嗅覚してんだ。) 半ばツッコミながらも俺は落ち着いていた。 「良いな…」 「?…何が?」 「光ちゃんっての…」 「…懐かしいよね」 俺は笑いながら頷いた。 褝も笑った。 やばいくらい好きだ。 「きゃっ、光ちゃん?」 俺は気が付くと褝を抱き締めてた。 「わ、わりぃ…」 ばっと離れる。 「ぃ、や。大丈夫…ね?」 褝は笑ってみせる。 「俺今日帰るわ…」 (何やってんだかな) 俺は立ち上がる。 「え、午後の授業は?」 「だりぃ」 笑ってみせる。 「ぢ、じゃあ私も一緒に帰る。」 「…………はぃ?」 (は?ってか、え?何故そうなる…) 「だ…め?」 「………」 (俺に拒否権はないっす。) 仕方なく頷く。
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