~ 第一話 ~

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~ 第一話 ~

“ギーキキーキッキーキ…” 「っ!?」 コネクトルへと向かう列車の中、葵達が眠っていると突然けたたましい音が鳴り響き前方に飛ばされた。 「…っ葵!氷河も大丈夫か!?」 「…ハイ…何とか大丈夫デス」 「……痛…何が起きたの?」 氷河が背後の席から乗り出して叫んだ。 「ご主人サマ!外を見てくだサイ!!」 「…外?」 葵は前列の席にぶつけた顔を押さえながら窓を振り向いた。既に外は明るくなっている。 「…止まってる?」 窓から見える景色は絵の様に微動だにせず止まっていた。 「今のはブレーキか…一体何があったんだ?」 車内は乗客達の話し声でざわめきたっている。 リョーマは席を立ち上がると葵の隣りに来て話しかけた。 「車掌に聞いてくるか?」 「うん…でも今は他の乗客も集まってそうだし…」 「聞けないかもしれませンネ」 「…そうだな」 その時、スピーカーからアナウンスが流れ始めた。 「“乗客の皆様にお伝えします。進行方向の線路の破損により運行を停止しております。後程乗務員が説明に伺いますので御席に着いてお待ち下さい”」 アナウンスが終わった頃には車内は静まり返っていた。 「線路の破損?」 「劣化してたのでしょウカ?」 「そうだと良いんだけど…」 静まり返っていた車内が再びどよめき始めている。 近くの乗客達の話声が耳に入った。 「まさか盗賊じゃないよな…」 「そんな馬鹿な…」 「いや、聞いた事あるぞ。落石とかで列車を足止めしてから襲うらしい…」 「…盗賊!?ウソでしょ!?早く動かして!!」 側で同じ様に話を聞いていた女性が悲鳴を上げた。 感染する様に車内を盗賊という単語が飛び交っていく。 「…リョーマ?」 振り向くと、リョーマは熱を測るかの様に自分の額を押さえていた。 「大丈夫だ、辺りに盗賊らしい人影はない」 「本当でスカ!?」 「良かった!リョーマは…」 「こいつ…何確証も無い事言ってんだ!!」 「っ!?」 突然一人の乗客がリョーマに掴み掛かってきた。
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