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「それより、見て!志紀!今日から衣替えだよ。どう冬服?」
るいは一回転し、ポーズをしながら志紀に見せつける。
「べ…別に…。悪くはないんじゃねーの?」
志紀はベットからおり、感想をるいに伝える。
…――本当はすげー似合ってるけど、なんか悔しいから言わない。
とゆーか昨日のこともあるので、素直に感想はいいたくないのだ。
「…まぁ、いいけど」
るいは妖しい笑みを浮かべながら言い放った。
志紀はチラッと横目でるいを見る。
――…芹沢るい
芹沢グループのいわゆるお嬢様的存在の彼女。
本人曰く、庶民ファンであり、自分の部屋は六畳。高級家具は一切置いてあらず、るいの部屋をでれば長くて広い廊下に赤いじゅうたんが敷いてあるのだ。
自分の母親とるいの母親は仲がよく、暇さえあればよく一緒にいる。
…ちなみに、でっかい金持ちのるいの家の隣りに庶民の俺の家が建っているのは色んな意味で目立つのだ。
お互いの部屋のベランダの距離が20センチしかないのは、無理矢理建てて庭がないため。
んまあ、玄関の方にいけば庭なんて公園並みだが……。
髪は肩より少し長めの、成績優秀、スポーツ万能。
顔もスタイルも他の女子と比べれば、ダントツにいいのだ。
……ただ問題は…。
「……何やってんだよ、るい…」
クローゼットから自分の制服をとりだしている時だった。
るいの不審な行動に声をかける。
「んー?別に?続けて続けて」
るいはニヤニヤしながら携帯をとりだし、志紀の方にむける。
「…………」
志紀は怪しいものでも見るようにるいを睨む。
そんな志紀にるいは気付き、仕方ないとでも言うように説明しだす。
「ハァー…あたしはただ、志紀の生着替えをこの携帯でムービーをとって「俺が着替え終わるまで外にでてろ!!!!」
志紀は扉を開け、るいを部屋の外へ追いだし、大きな音をたてて閉める。
「…ハァー…」
……問題はこの性格。
ドSの上に変態。かなりキツいところもあるし、女らしさが感じられない。
……いや、見た目だけはどんな女よりも勝っているか…。
そんなことを考えながら、志紀は着替えにとりかかった。
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